昼の世界への 「サイエンズ」(1)

本当に良いものは → 皆に喜ばれる と言えるかもしれないが、
皆に喜ばれるものは ≠ 本当に良いもの とは言えないだろう。
心が健康なら → 明るく元気 であるかもしれないが、
明るく元気なら ≠ 心が健康 であるとは限らないだろう。

しかし・・・、
皆に喜ばれるのは ≠ 本当に良いものだからだ・・・、
明るく元気な人は ≠ 内面が健康なのだ・・・、と思ってしまい易い。

内面の良さが → 表面の良さ に現われることはあるが、
表面の良さが ≠ 内面の良さ を現わしているとは限らない。

このように書くと「そりゃそうだ」と言うかもしれないが、
実状は、このように「逆は成立しない」ということを案外、知らない。
悪い事をする人を ≠ 悪い人だ としている。
良い事をする人を ≠ 良い人だ としている。

教育では、悪い事をしないように教え、良い事をするように教えている。
社会では、悪い事が起こらないように、罰則を設け、取り締まっている。
人の内面の乱れから → 規律や秩序が乱れるとも言えるが、
規律や秩序を正せば ≠ 人の内面が正されるとは言えない。

その人にとって最も大きく占めているのは、内面(心)であって、それは生まれてから今日までに周囲から受けたものの集積によって形成されたものであり、意識や感情や言動などは、そこから生じた表層の一部と言えるだろう。

その人が言ったこと、やったことは、本心からのものとは限らない。
言動の元になった意志や欲求や感情なども、様々な条件や周囲からの刺激に反応して生じたものだろう。
あんなことをやった、こんなことを言ったと、それを捉えて評価したり批判したりしている。それに反応して、対応や方策を講じている。
日常の人間関係しかり。ニュースで聞く社会問題・国際問題しかり。
「行為を見れば分かる」「考えを聞けば分かる」と、浅い原因や理由で、その人を分かったつもりになって、人を判定している。しかし、その実は、人の内面に(数十年かけて)形成されたその人固有の内面を知ろうともしていない。
「人は何をするか分からない」あるいは、表層のものを捉えて、「こういう人だ」と断定して、そこからの議論や対応に終始している。
人間にとって最も肝心な、最も大きな「内面」を観よう・知ろうとする文化や社会気風が育たない。それは、お互い「人」でありながら、「人」を知ろうとしていない社会とも言える。
まさに、暗中模索・疑心暗鬼。暗い夜の世界を手探りで活動しているのが、今の人間社会のようだ。  つづく
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