自分を知るための内観コース Ⅳ

・内観法体験のポイント
3.三つの観点(テーマ)で、分けて、具体的な事実を、一つ一つ検べる

 たとえば母に対する自分を、①(自分が)してもらったこと(世話になったこと)②(自分が)して返したこと(してあげたこと)③(自分が)迷惑かけたこと、という三つの観点で、分けて、具体的な事実を、一つ一つ検べる。

 たとえば小学校の頃というように時代を区切って、その間のことについて、まず①自分が母にしてもらったことは何かなと、(記憶を蘇らせたり、当時の状況などからの類推なども織りまぜながら)具体的な事実を検べる。こんなこともしてもらった、あんなこともしてもらったと具体的な事実(場面)を一つ一つ見ようとする。漠然とした印象にとどまらないで、一つ一つを今の自分の中に出来るだけ鮮明にうかび上がらせる。
 
 ①の観点で小学校時代について検べたら、次に②の観点に移り、小学校時代に自分が母にしてあげたことは何かなと、具体的な事実を検べる。ここでも一つ一つ検べる。②の観点で小学校時代について検べたら、次に③の観点に移り、小学校時代に自分が母に迷惑をかけたことは何かなと、具体的な事実を検べる。
 
 三つの観点で分けて一つ一つ検べることで、母に対する自分の姿が鮮明に浮かび上がってくる。例えば、母から自分はしてもらったことばかりで、自分から母にしてあげたことはほとんどない、かえって迷惑ばかりかけていた、そういう自分の姿が浮かび上がってくる。そういう自分に改めて気づく。

 ①の観点で小学校時代の自分を検べる、次に②の観点で小学校時代の自分を検べる、次に③の観点で小学校時代の自分を検べる。分けて順番に検べていくという、この過程を取り違えて、その時代の経過(事柄)を追いながら一つの事実(場面)に同時に三つの観点を入れて検べようとすると、その時の自分の姿はそれなりに見えてくるかもしれないが、母に対する自分の姿(位置?)が鮮明に浮かび上がってくるということにはならないようだ。

 物事を分けて、一つ一つ見る、検べる、そうすることで、漠然としていた全体が鮮明に浮かび上がってくる、そこには何か理があるように思われる。
内観コースについて | - | -