覚書 Ⅰ

 内観研修所の所長をしておられる女性(60代?)が、気付きの質ということを話してくれた。その人は二十年にもわたって千人以上もの内観者の面接を経験しているとのことだ。

 面接していて、自分の中でいろいろ思うことがあり、言いたくなることもある。早く気付いて欲しいと思うこともある。でも実際にそのことを内観者に言うのは、せいぜい百のうちに一つぐらいだ。気付きの質ということを思う。人に言われて気付くのと、内観により自分自身で気付くのと、やはり質がちがうのではないか。本人が人に声かけられて気付いて喜んだとしても、浅いものであれば表面の一時の変化に終わってしまう。あくまで本人が気付くのを待つ。気付かなければそれでよい。内観は自分自身で気付くために用意されている。主体は内観者、面接者はあくまでも<淡々と聴く>に徹する。

 その人の話を、自分はこう受け取った。
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