内観コースに一青年を受け入れて Ⅱ

 この青年は、これからの進路や将来のことについて考えるつもりで来たらしい。それが「『内観ではこれからのことでなく、今までの(過去の)自分を調べるのだ』と聞いて、最初はやる気がでなかったけど、調べる中で、自分が知らないうちに様々な人に世話になりまた迷惑をかけていたこと気付き、真剣に内観に取り組むようになった。そして過去の自分が見えていくうちに将来の自分が見えてきた」というように話していた。

 過去の自分(今までの人生)は、自分がこれからのことを考えていくための資料になる。自分の成り立ちや、自分が受けてきたものの大きさ、人とのかかわり・つながり、それを身を持って知る。そこからまたこれからの自分の人生が描けてくる。そしてその青年が「何かの節目にはまた内観研修に来たい」と話していたのは、自分のこれからの生き方を考えるときに、<自分を知る>ことがいかに大事かということも身を持って知ったからだと言えないだろうか。(続く)
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内観コースに一青年を受け入れて Ⅰ

 今回の内観コースには、高校を卒業したばかりの18歳の青年が参加した。きっかけは親にすすめられてということらしいが、自分でも、これからの自分の進路方向やこれからやりたいことをはっきりさせたいと思い参加したとのこと。この内観コースでは、これからのことを考えるためにも、今までの自分のこと(人生)を振り返ることをするということを確認して、青年の内観は始まった。

 年齢的に若いので、母や父に対しての自分を調べるのに、3年づつで区切って調べてもそれほど時間がかからない。母・父に対しての自分については通して2回、妹に対しては一回、その時期時期の友人や恩師(人数にしたら結構な人数になる)に対しても2回、そのほか養育費を計算したり、うその盗みのテーマでも調べた。うその盗みのテーマでも、小学校低学年から始めたが、中学高校時代については自分から進んで一年ごとに区切って調べた。日がたつにつれて、自分を調べてみようという意欲も増してきたようだ。

 うそと盗みのテーマのあとまだ時間があった。やはり一番近い高校時代のことをもう一度調べてみたいとのことで、友人に対する自分と恩師に対する自分を、また一学年ごとに調べた。父や母のこともあるが、こういう年代の青年にとって身近な友人や学校の先生の存在は大きく、自分でもそれを感じていたようだ。3月に参加した19歳の女性も、友人や学校の担任の先生や部活の監督の先生に対する自分を積極的に調べていたのを思い出す。

 最後の座談会で、本人は「高校を卒業したこの節目の時期に、今までのことを振り返られてよかった。過去の自分を見ていくうちに自然と将来の自分が見えてきて、より鮮明な未来像が描けるようになった」というような感想を話していた。帰り際「また何かの節目の時期に内観研修に来ます」と言って帰って行った。(続く)
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