「この薬を飲んだから熱が下がったの?」ということについて

日常会話の中に、「この薬を飲んだから熱が下がった」とか「この栄養剤を飲んだから元気が出た」という話をよく聞くことがある。
これも迷信・誤診の類なのだろうか?
この薬を飲んだ、だから、熱が下がったと言えるのだろうか?。
つまり、この関連は、因果関係があるのだろうか?

☆因果関係とは、原因とそれによって生ずる結果との関係のこと。

これは、因果関係があるとは言い切れないのだろう。
なぜなら、飲まなくても自然に下がったかもしれないし、他の要因も絡んでいるかもしれないから。

これを科学的に実験してみるという場合はどうなるのだろう?
「その薬を飲まずに三時間待機した数十人」と「その薬を飲んで三時間待機した数十人」を比較して、そして統計的にみて効果があるかどうかを調べてみるそうだ。
しかし、これで証明できるのは、統計的に有意味な相関関係の有無だけらしい。つまり、この薬を飲まない場合は○○%の人が熱が下がり、飲んだ場合は△△%の人が熱が下がるということから、統計的に有意味な相関関係があるかどうかを判断するということになる。
統計は相関の強さを扱う学問にすぎず、因果については何の保証も説明もすることは出来ないそうだ。つまり因果関係は実験科学では絶対に証明できないということになるらしい。

☆相関関係 一方が他方との関係を離れては意味をなさないようなものの間の関係。

相関関係があると、その元に因果関係を推測したり、仮定したりするのは、人間の脳の働きなのかもしれないが、それはあくまで人間の考え出したことに過ぎないということになるのだろう。

相関関係があるとするのも人間の判断。(科学的にやれるところ)
そして、相関関係の元に因果関係を見いだすのも人間の判断。(科学で証明できないところ)
人間の判断でしかないことを恰もそういう関係が実際にあるとみてしまうところに、迷信・誤信が生ずる一因があるのだろう。
迷信・誤信についての考察 | - | -