印象記 Ⅳ

あるときホジョンが寝転んでいる横で、僕がくしゃみをした。見るとホジョンの顔が歪んできて、ウェーンという感じで泣き出した。大きな音(くしゃみ)にびっくりしたようだった。泣き出すときのホジョンの顔は何とも言えないほど可愛いものだが、僕はそれ以来ホジョンの近くではくしゃみをしないようにした。

くしゃみばかりでなく、近くで大人が急に大声で話したりしてもびっくりするようだ。大人はびっくりしても泣くことはないだろう。ホジョンがびっくりして泣いたとも言えるのだが、何か怖がっているというようにも受け取れる。怖いという意識はないにしても、そのときホジョンの中に<怖いという感情>が生まれているのかもしれない。

日常使われる<怖い>という言葉だけでその時のホジョンの心理を表現できるわけでもないだろうが・・

お腹が空いて泣く、眠たくて泣く、抱っこして欲しいと泣く、ぐずって泣く、びっくりして泣く、怖がって泣く、等等、僕がいろいろに受け取るわけで、ホジョンがそういう意識(思い)を持って泣くわけではないだろう。でもホジョンにしても、周囲(の人)の状況や自分の身体の状態をホジョンなりにキャッチしての反応(泣き)を示しているのだろうから、ホジョンなりにいろいろな欲求や感情を体験していると捉えてもいいのではないか。
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