内観にみる人間観7

 自分を知ることで、人(人間)を知る。人と人の切ることの出来ない真理性に基づく人間観が形成される。もし内観法がこのように仕組まれていると考えられるならば、内観法を体験する人にあらわれる各種内観効果にも一貫したものがあり、それは、その人のベースにある人間観の変化・転換によるものと見ることが出来る。

 内観は人間関係におけるいろいろな悩みや問題の解消に効果があると言われる。また、薬物及びアルコール依存症の一つの療法としても取り上げられ、その場合、内観療法とも呼ばれている。一方、いろいろな立場の人の自己啓発の機会ともなるようで、内観により生きる意欲や積極性の向上、生きがいの自覚、能力発揮などの効果がもたらされると言われる。そして実際非常に多くの具体的実例・実績があるということが何よりも着目に値することだ。

 何故内観がこのような効果をもたらすのか。たとえば、アルコール依存症の人が内観することで、親や周囲の人から受けたもの(愛情等)の大きさを自覚する。その自覚がアルコール依存からの解放の契機となる。そのように説明されることが多い。そこには理があるような気もする。人の本当の安心満足というのは、周囲の人からの愛情を受けることによりもたらされるともよく言われることだ。確かにアルコール依存ばかりでなく人間関係における悩みの解消や、いろいろな人のさらなる自己啓発にしても、自分が受けているものの大きさの自覚がベースになるとも言える。

 そういう捉え方は間違ってはいないと思うし、自分も今までそういう捉え方に拠っていたわけだが、もう一つ何か説明不足で、物足りない感があった。今各種内観効果は、その人のベースとなる<人間観の変化転換>によると捉えると何かしっくりくるものがある。

 自分を知る→人を知る→人の存在の仕方を知る(すべてのもの《こと》を受けていることの自覚)→人と人の切ることの出来ない繋がり(の真理性)の認識自覚→人は個別的存在ではないという人間観の形成→生き方の根本的な転換

 問題の真なる解消は、人のベースにある人間観の革命による生き方の転換によってもたらされる。

 これは自分の中に今ある<人間観>の観念から内観法を捉えた一つの解釈にすぎないが・・・人間観という言葉(概念)を自分がどう捉えているかということについては、もう少し説明を加えたほうがいいかもしれない・・ 
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