内観コースに小学生を受け入れて Ⅳ

 その子は面接者の戸惑い?をよそに一週間の内観コースを終えた。退屈したときも随分あっただろうが、いやになることもなく一週間自分でやろうとして取り組んでいたように思う。一日9回全部で50回の面接を1回も飛ばさず、面接のたびに三つのテーマで調べた(思い出した)ことを報告した。それは母父妹祖父母おじおばなど身近な人に対する自分を、小学校5年の今までについて一年ごとに区切って思い出す機会があったということだ。(小学校入学以前・小学一年・二年・三年・四年・五年というふうに区切る)
 
 それもただ思い出すということではなく①世話になったこと②して返したこと③迷惑かけたことというところで、自分を振り返ったということだ。そういう観点でそのときの場面とそのときの自分を観たということだ。それを一週間の間繰り返し繰り返しやる。テレビやマンガなど外部からの刺激のない環境で暮らしながら、自分を観ることだけをやる。そのことは必ずや、その子にとって自分を見る(客観視する)目を養う機会になったにちがいない。

 その子の感想文の中には「お世話になったことがとても多くて、自分からして返したことというのは少ししかないと思った」というようなことが書かれていた。アンケートには短期内観もやってみたいと書かれていた。その子はすでに内観人生を歩み始めているといったらいいすぎだろうか。

 その子の体験内容はその子に意識されるかどうかにかかわらず、またまわりから見て窺い知れるかどうかにかかわらず、計り知れないものだと思う。
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