内観コースに一青年を受け入れて Ⅲ

 三つのテーマや嘘と盗みのテーマで調べた内容を語るこの青年の話は聞いていてとても分かりやすかった。自分に目を向けて、自分の気持や思いや考えや行為をそのまま語っているという印象を受けた。捉え方に複雑なところがないのだろう。話が何かスッキリしていて単純明快だ。それも飽くまでこちらの受ける印象なのだが・・・。

 3月に受け入れた19歳の女性の話も分かりやすかった。ある小学生(7歳)の女の子が内観した内容を面接で報告するのを録音したテープもあるが、それは誰が聞いても分かりやすいものだ。

 自分に目を向ける能力というのは、もともと人間に具わっているのだろうか。乳幼児においては、その能力はまだ発露していないわけだが、小学生ぐらいになると、もう自分に目を向けることができるようだ。今の単なる思いつきだが、この<自分に目を向ける能力>というのに年齢差はなく、何らかの条件が整えば、10歳でも20歳でも50歳でも同じように発揮できるのではないか。内観に関わる自分のわずかな経験からの憶測に過ぎないかもしれないが。

 自分に目を向けることができる能力は年齢に関係なく誰にでも具わっているとしよう。とすると、その能力の発露と発揮を邪魔するものは何か。いろいろな要因が考えられると思うが、その能力の発露や発揮が人の頭の中でのことだとすると、それを邪魔するものも、煎じ詰めると頭の中のもの、すなわち何らかの観念であると言ってもよいのではないか。(続く)
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