私の社会像 3

 社会にとって、制度・機構は最も大切なもので、真の幸福に根ざした機構・制度、つまり、物的欲求は勿論のこと、各々の心理的欲求・要求・安心・満足が得られる社会機構が必要だと思う。
 個々に具わる個性・持ち味・能力・欲求・要求は、個人差があり、時には極端に異なる場合もあるから、ある人には満足な境遇でも、別の人には耐えられない場合もあり、そのいずれかの是非を問うものでもなく、個性に適合した環境と皆が個々に満足できる社会こそ、真の平等だと思う。
 自由競争という名のもとに、貧富の差を肯定し、力のある人は欲求を満たせて、そうでない人は我慢を強いられるのでは、不平等は広がるばかりでしょう。
 また、同じ規範や環境を一様に当て嵌めて、不平・不満・外れる人をとがめるのは、個性を無視した悪平等でしょう。
 人間性にそぐわない社会機構では、こうした不平等・悪平等・不平・不満が生じ易く、その社会を治めるには、してはいけないことや、しなければならないことが必要となる。
 社会は本来、人のためのものの筈だが、そこを外したがために、社会のための人になってしまい、社会を守り営むために義務や責任を背負わし合って、不本意に生きる破目になる。社会とは、そういうものなんだ。そうやって皆で社会を背負って行くんだという通念が常識になっている。
 一人一人の個性を尊重し、全ての人の欲求・要求を真に満たしていこうとすると、感情や欲求の抑制を当然のこととして治めようとする従来の社会観・組織論には、どうしても無理がある。
 社会というものを根本的に見直して、人間性を曲げたり抑えなくてよい社会、一人一人の安心・満足を実現して行こうとする社会、人間愛を基調にした機構・制度を研究・実験しよう。
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